ずいぶん前に録画していたものを観ました。
私は、闘病モノが苦手です。やけに美化されていたり、
「そんなわけないでしょ」と感じたり、力づくで涙を流させようという
意図が感じられたり、いろいろな作品を観て苦手意識を持っていました。
この作品は、泣けた。
『おにいちゃんのハナビ』は、ちっとも格好良くないおにいちゃんが
ちょっとずつ力を出していく描写がとても丁寧で、そのままストレートに
いくわけではなくて、へなちょこだったり、うまくいかないと逃げちゃったり
とても人間らしい側面をしっかりと見せながら、美しい花火を仕上げるのです。
そう。難しい「赤」を、美しい赤に仕上げる。深みのある良い赤でした。
赤い花火を、華が喜ぶから・・・ただ、それだけのために。
顔つきが変わっていくおにいちゃん、素敵だったな。
花火は、美しくて心奪われますが、一瞬で消えてしまいます。
だからこそ、一瞬を大切に。
オレンジ色の温かいおにいちゃん、うまく言葉が出なかったりで
人と接するのが上手ではありません。でも、これから、オレンジ色が
しっかりと周囲に伝わるといいな。
新聞配達中にカイロを渡してくれた優しい笑顔のおばあちゃん。
孤独な生活なのかな?と心配して観ていました。
花火大会で、みんながお祝いの花火を上げてくれていた。
新聞配達の青年に、寒いときにカイロを差し出してくれる
優しいおばあちゃんが一人ぼっちじゃなくて本当に良かった。
華ちゃんが、「みんなで一緒にごはんを食べる」ことを大切にしている
描写が何度もありました。自宅療養中に、友達とお弁当を食べるためだけに
高校に行ってみたり、自分に体調悪化の自覚があっても、家族とご飯を
食べられなくなるからと症状を隠したり、最期の言葉も「一緒にご飯を・・・」
でした。
入院すると、誰かと食べるご飯がいかに幸せなのかを痛感します。
わかるなぁ、と泣けてきました。
闘病モノが苦手と決め付けず、改めて、いろいろな作品を観ていきたいと
思います。良い作品に出会うと、映画意欲が増しますね。