有川浩さんの作品。
身体に障がいを持った人に関連する小説は、
今までたくさん読んできましたが、今までで一番心に響きました。
障がい者を一人の人間として扱うという、簡単なようでなかなか
出来ない描写が、とても丁寧で、本を読みながら涙が浮かぶことも
多々ありました。
私が中途障がいを持ってから、うまく人に伝えられないもどかしさや
自分でも気づかない内側の「葛藤」を、この小説が表現してくれていると
感じる部分もありました。
すごいです、この作品。
メールのやり取りが冒頭から続くので、互いを表現する「ことば」は
一切ごまかしがききません。会話と異なり、自分の本意が伝わらなくても
すぐには訂正が出来ない緊張感があります。
障がいを持った人がそれを行い、出版するには、「人権」や「差別」
といった問題が絡むことで、表現には制限もあっただろうし
難しい面も多々あったと推測します。
変に美化することもなく、
実直で、
読んでいて気持ちよかった。
夢中で読んだあと、すがすがしかった。
「人それぞれ」
これからも、ことあるごとに手に取りたい良作です。